問1 介護認定審査会の設置について
介護認定審査会の設置について、正しい記述をすべて選びなさい。
- 都道府県は、介護認定審査会を設置しなければならない。
- 市町村は、介護認定審査会を設置する。
- 特別区は、介護認定審査会を設置することができる。
- 広域連合や一部事務組合でも、共同で介護認定審査会を設置することができる。
- 介護認定審査会は、厚生労働省の管轄下に置かれる。
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正解:
2, 3, 4
解説:
- 1. ✖️ 都道府県は介護保険事業の運営主体ではなく、介護認定審査会を設置しません。保険者である市町村や特別区などが設置します。
- 2. ⭕️ 介護保険の保険者である市町村は、介護認定審査会を設置します(介護保険法第14条)。
- 3. ⭕️ 特別区も市町村と同様に保険者であり、介護認定審査会を設置します。
- 4. ⭕️ 複数の市町村が共同して事務を行う広域連合や一部事務組合も、介護認定審査会を設置することができます。
- 5. ✖️ 介護認定審査会は、設置主体である市町村等(保険者)に置かれる附属機関であり、厚生労働省の直接の管轄下ではありません。
問2 介護認定審査会の委員について
介護認定審査会の委員について、正しい記述をすべて選びなさい。
- 委員は、保健、医療又は福祉に関する学識経験者のうちから任命される。
- 被保険者を代表する者が、必ず委員に含まれなければならない。
- 委員の定数は、全国一律で定められている。
- 委員は、非常勤の特別職地方公務員である。
- 市町村長が委員を兼務することができる。
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正解:
1, 4
解説:
- 1. ⭕️ 介護保険法第15条で、委員は「保健、医療又は福祉に関する学識経験者」で構成されると定められています。
- 2. ✖️ 委員の構成要件に、被保険者代表を含む規定はありません。学識経験者で構成されます。
- 3. ✖️ 委員の定数は、全国一律ではなく、各市町村等が条例で定めます(介護保険法施行令第7条)。
- 4. ⭕️ 委員は、地方公務員法上の非常勤の特別職地方公務員とされています。
- 5. ✖️ 委員の任命権者は市町村長等ですが、市町村長自身が委員になることは通常ありません。任命は学識経験者に対して行われます。
問3 介護認定審査会の委員の任命と任期について
介護認定審査会の委員の任命と任期について、正しい記述をすべて選びなさい。
- 委員は、都道府県知事が任命する。
- 委員の任期は、原則として2年である。
- 委員の任期は、条例で3年まで延長することができる。
- 委員に欠員が生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間となる。
- 委員は、再任されることはない。
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正解:
2, 3, 4
解説:
- 1. ✖️ 委員は、設置主体である市町村長(特別区長、広域連合長等を含む)が任命します(介護保険法第15条第2項)。
- 2. ⭕️ 委員の任期は、原則として2年です(介護保険法施行令第8条第1項)。
- 3. ⭕️ 市町村等は、条例で委員の任期を2年から3年までの間で定めることができます(介護保険法施行令第8条第1項ただし書き)。
- 4. ⭕️ 補欠委員の任期は、前任者の残りの期間となります(介護保険法施行令第8条第2項)。
- 5. ✖️ 委員は再任されることがあります。再任を妨げる規定はありません。
問4 介護認定審査会の委員の義務について
介護認定審査会の委員の義務について、正しい記述をすべて選びなさい。
- 委員には守秘義務が課せられており、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
- 委員を退いた後も、守秘義務は継続する。
- 守秘義務違反に対する罰則規定はない。
- 審査判定にあたっては、常に公平中立な立場を保つ義務がある。
- 委員は、審査対象となる被保険者やその家族からの贈与を受け取ってはならない。
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正解:
1, 2, 4, 5
解説:
- 1. ⭕️ 介護保険法第17条により、委員には守秘義務が課せられています。
- 2. ⭕️ 守秘義務は、委員の職を退いた後も継続します(介護保険法第17条)。
- 3. ✖️ 守秘義務に違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる罰則規定があります(介護保険法第205条)。
- 4. ⭕️ 介護認定は被保険者の権利やサービス利用に直結するため、委員は公平中立な立場で審査判定を行う責務があります。
- 5. ⭕️ 委員は特別職地方公務員であり、職務に関連して利害関係者から利益供与を受けることは、地方公務員法や関連法規、倫理規定等により禁止されています。
問5 介護認定審査会の役割・権限について
介護認定審査会の役割・権限について、正しい記述をすべて選びなさい。
- 市町村からの諮問に基づき、要介護認定及び要支援認定の審査判定を行う。
- 審査判定の結果に基づき、最終的な要介護度や要支援度を認定する。
- 一次判定の結果は参考にするが、審査会の判断で変更することができる。
- 要介護認定及び要支援認定の有効期間について意見を述べることができる。
- 審査判定の結果を、直接被保険者に通知する。
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正解:
1, 3, 4
解説:
- 1. ⭕️ 介護認定審査会は、保険者である市町村からの諮問(依頼)を受けて、要介護認定だけでなく要支援認定についても審査判定を行います。
- 2. ✖️ 最終的な認定(要介護度・要支援度の決定)を行うのは、審査会の審査判定結果に基づき、保険者である市町村です。審査会はあくまで審査判定を行う機関です。
- 3. ⭕️ 審査会は、一次判定の結果、主治医意見書、特記事項などを総合的に勘案し、一次判定の結果と異なる判定(二次判定)をすることができます。
- 4. ⭕️ 審査会は、要介護度・要支援度の判定とともに、認定の有効期間についても意見を述べます。市町村はこの意見を参考に有効期間を決定します。
- 5. ✖️ 審査判定の結果(認定結果)を被保険者に通知するのは、保険者である市町村の役割です。審査会が直接通知することはありません。
問6 介護保険制度における介護認定審査会と都道府県の役割について
介護保険制度における介護認定審査会と都道府県の役割について、正しい記述をすべて選びなさい。
- 介護認定審査会は、市町村に設置される。
- 都道府県は、市町村の求めに応じて介護認定審査会を設置する。
- 都道府県は、介護保険審査会を設置し、認定に関する不服申し立て(審査請求)を処理する。
- 介護認定審査会は、都道府県知事の指揮監督を受ける。
- 都道府県は、市町村が行う介護認定業務が円滑に行われるよう、必要な助言及び適切な援助を行う。
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正解:
1, 3, 5
解説:
- 1. ⭕️ 介護認定審査会は、保険者である市町村(特別区、広域連合等を含む)に設置される附属機関です。
- 2. ✖️ 介護認定審査会の設置主体はあくまで市町村(特別区、広域連合等)であり、都道府県が設置することはありません。
- 3. ⭕️ 都道府県は、保険者(市町村)が行った介護保険に関する処分(認定結果など)に対する不服申し立て(審査請求)を審理・裁決する機関として、介護保険審査会を設置します(介護保険法第183条)。
- 4. ✖️ 介護認定審査会は、設置主体である市町村長等の指揮監督を受けます。都道府県知事の指揮監督下ではありません。
- 5. ⭕️ 都道府県は、介護保険事業が適切かつ円滑に行われるよう、市町村に対して必要な助言や適切な援助を行う役割を担っています(介護保険法第5条)。これには認定業務に関する支援も含まれます。
問7 介護認定審査会が審査判定を行う際に用いる資料として
介護認定審査会が審査判定を行う際に用いる資料として、適切なものをすべて選びなさい。
- 一次判定の結果
- 認定調査票の特記事項
- 主治医意見書
- 居宅サービス計画書(ケアプラン)
- サービス担当者会議の要点
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正解:
1, 2, 3
解説:
- 1. ⭕️ 一次判定(コンピュータ判定)の結果は、二次判定の基礎資料となります。
- 2. ⭕️ 認定調査員が記載した特記事項は、調査票の項目だけでは捉えきれない被保険者の状況を示す重要な情報源です。
- 3. ⭕️ 主治医意見書は、医学的な観点からの情報を提供する重要な資料です。
- 4. ✖️ 居宅サービス計画書(ケアプラン)は、認定結果を受けて作成されるものであり、認定審査の資料としては通常用いません。
- 5. ✖️ サービス担当者会議の要点(議事録など)も、認定後のサービス提供に関するものであり、認定審査の資料ではありません。
問8 介護認定審査会の審査判定プロセスについて
介護認定審査会の審査判定プロセスについて、正しい記述をすべて選びなさい。
- 審査判定は、必ず一次判定の結果どおりに行わなければならない。
- 主治医意見書の内容が一次判定の結果と異なる場合、主治医意見書を優先する。
- 認定調査員の特記事項は、判定の参考にすぎず、重視されない。
- 複数の委員から構成される合議体で審査判定を行う。
- 必要に応じて、認定調査員や主治医から直接意見を聴取することができる。
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正解:
4
解説:
- 1. ✖️ 審査会は一次判定の結果を参考にしますが、主治医意見書や特記事項などを総合的に勘案し、一次判定の結果を変更して判定することができます。
- 2. ✖️ 主治医意見書は重要な資料ですが、一次判定結果や特記事項などと総合的に評価されるため、必ずしも優先されるわけではありません。
- 3. ✖️ 特記事項は、数値化された調査項目だけでは分からない個別の状況を示す重要な情報であり、審査判定において重視されます。
- 4. ⭕️ 審査判定は、通常、複数の委員(保健・医療・福祉の学識経験者)で構成される合議体において、合議により行われます。
- 5. ✖️ 審査会が直接、調査員や主治医から意見を聴取することは通常ありません。必要な情報は、市町村の事務局を通じて確認・照会します。
問9 介護認定審査会の合議体の運営について
介護認定審査会の合議体の運営について、正しい記述をすべて選びなさい。
- 合議体は、委員の中から選ばれた合議体長が主宰する。
- 合議体の委員の定数は、条例で定める。
- 合議体は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開き議決をすることができない。
- 合議体の議事は、原則として公開される。
- 判定に迷うケースでは、多数決ではなく全会一致が原則である。
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正解:
1, 2, 3
解説:
- 1. ⭕️ 通常、合議体には合議体長が置かれ、会議の議事進行等を担当します。合議体長は委員の中から互選または市町村長等が指名します。
- 2. ⭕️ 審査会全体の委員定数と同様に、一つの合議体を構成する委員の定数も市町村等の条例で定められます(介護保険法施行令第9条第1項)。
- 3. ⭕️ 合議体の定足数は、原則として委員の過半数とされています。過半数の出席がなければ会議を開き、議決することはできません(介護保険法施行令第9条第3項)。
- 4. ✖️ 介護認定審査会の会議(合議体の議事)は、個人のプライバシーに関する情報を扱うため、原則として非公開です。
- 5. ✖️ 議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数の場合は合議体長が決します(介護保険法施行令第9条第4項)。全会一致が原則ではありません。
問10 介護認定審査会に関して、その他
介護認定審査会に関して、その他正しい記述をすべて選びなさい。
- 審査会は、要介護度の判定だけでなく、サービスの種類指定に関する意見を述べることもある。
- 審査会の判定結果(市町村の認定処分)に不服がある場合、被保険者は都道府県の介護保険審査会に審査請求ができる。
- 審査会は、市町村に対して、認定調査の実施方法について指導・助言を行う権限を持つ。
- 審査会の委員は、自身の親族に関する案件の審査判定には加わることができない。
- 審査会は、認定結果を直接被保険者に通知する。
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正解:
1, 2, 4
解説:
- 1. ⭕️ 審査会は、要介護度の判定とともに、認知症高齢者の日常生活自立度や、短期入所療養介護の利用など、サービスの種類指定に関連する意見を判定結果に付すことがあります。
- 2. ⭕️ 市町村が行った要介護認定・要支援認定の結果(審査会の判定に基づく処分)に不服がある場合、被保険者はその処分を知った日の翌日から起算して3か月以内に、都道府県に設置されている介護保険審査会に対して審査請求を行うことができます(介護保険法第183条)。
- 3. ✖️ 認定調査の実施方法に関する指導・助言は、審査会の直接的な権限ではありません。調査の質向上に関する意見交換などは行われる場合がありますが、法的な指導権限はありません。
- 4. ⭕️ 公平性を担保するため、審査会の委員は、自身や配偶者、三親等内の親族など、密接な利害関係がある案件の審査には関与しない(除斥される)のが一般的です。これは条例等で定められています。
- 5. ✖️ 認定結果(要介護度、有効期間など)の通知は、審査会の判定を受けて、保険者である市町村が被保険者に対して行います。